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「新築マンション1億円超」報道の落とし穴

最近、「東京23区の新築マンションの平均価格が1億3764万円」という見出しが、テレビや新聞を賑わせています。驚きとともに“都市の高騰感”を煽るような報道が続きますが、その数字の背景を冷静に見つめる必要があります。


実はこの「平均価格」、分母である供給戸数が激減している事実をほとんどの報道は触れていません。
かつて首都圏で約96,000戸あった新築マンション供給は、2024年では23,000戸と4分の1に縮小。また、東京23区では、かつて4万弱あったものが2024年では8,275戸となっています。しかも、その大半が港区・中央区・渋谷区などの再開発エリアに建つ高層タワーマンションなのです。


つまり、「平均価格が上昇した」というよりも、「販売構成が高額物件に偏った」だけの話ということが言えます。
分母が絞られ、超高額物件ばかりが統計に残れば、平均値が跳ね上がるのは当然の算術です。にもかかわらず、あたかも都民全体の住宅価格が倍増したかのような印象を与える報道が横行しています。


本来見るべきは「中央値」や「価格帯別の供給比率」なのです。これらを分析すれば、むしろ5000万〜7000万円台の中堅層向け物件がほぼ市場から消えつつあることが分かるのです。


これら平均価格の上昇は“景気の回復”ではなく、“中間層の退出”を示すシグナルなのです。
報道は事実を伝えるだけでなく、数字の意味を社会に翻訳する責任があると思います。


供給減少やタワマン偏重という背景を省き、平均値だけを強調する報道姿勢は、統計の一部を切り取って“センセーショナルな物語”を作る行為に等しいと思います。


現在、都市の住宅市場は、投資マネーと富裕層志向の再開発によって構造的に変質していると考えられます。
「1億円のマンション」が一般の生活者にとって遠い存在となった今こそ、報道は“数字の裏側”に隠された真実を鋭く読み解く目を取り戻していただきたいものです。

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